【インタビュー】郡山の誇る伝統工芸品「張り子」の可能性と、新たに完成した工房について聞いてみた!―橋本彰一さん(後編)

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大躍進といえる怒涛の2011年を経て、張り子の持つ可能性に目覚めた彰一さん。現在のお仕事はどんな感じなのでしょうか。そしてこれから何をやろうとしているのでしょうか?つぶさに聞いてみました。

いいべ!:2011年のその変化があって以降、いろいろとお仕事の幅は広がってきているのではないですか?

彰一 :本業はそれほど変化はないですが、特注品の問い合わせを受けることが以前よりは少し多くなりました。県内が多いですけど、いろいろなお話が来ます。
見積や納期が合わなくて作れないことはあるんですけど、基本的に条件が合えば、だいたいのものは、うちは100%形にしています。「作れませんでした」って言ったことないんですよね。
修復とかもあります。「地震で壊れてしまった瀬戸物だけど、思い入れがあるので、もし直せれば…」みたいな話とか。で、やってみたら意外と結構、直せてみたり(笑)。うちのスタッフの中に同級生が一人いるんです。教わったこともだいたい同じなんで、なにかやろうとすると二人でけっこうやれちゃうんですよね。張り子だけじゃなくて、油絵とかも描けと言われれば描けるし。焼き物とかもやってみようかっていう姿勢でいますし。

 

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いいべ!:張り子だけじゃない、多彩な方向にこれからどんどん広がっていきそうですね。ところで、新しく完成した工房についても教えていただけますか?

彰一 :木工をやるための工房です。「三春駒」の制作をここで見せながら売りたいと、父の代から思ってたんです。いろいろご協力をいただいて、建てることになりました。
実は、自分は家具のデザインもやっていて。今後はここでそれもできるので、楽しみなんです。あとはもっと大きな張り子も作りたいですね。いままでは大きなものを作るための場所がなかった。今度はできそうなんです。
自分の中ではあの工房を「可能性工房」と呼んでいます。今後の張り子や、自分の可能性を試す場所です。ちょっとした研究所ですね。

 

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彰一 :ゆくゆくはここの地域が「ものづくりの里」として、若い芸術家、工芸家が集まって、芸術活動しながら生活しているような場所になれば面白いかな、ともちょっと思ったりしてます。それこそ、売れないうちは張り子つくりを手伝ってもらったりとか。あと田畑もあるんで、自分の食べるものくらいは自分で作るとか。そういう感じで、陶芸や漆や染色とか、他の分野の人たちが集まってきたら、張り子とのコラボレーションをしてみたいですね。

いいべ!:それが実現したら、ここはかなりのクリエイティブな土地になりそうですね。ところで、彰一さんのつくる家具ももちろん、一点ものということになりますよね?基本的に、お客さんからの「こういうのがほしいんだけど」みたいな話を受けてつくり始めるんでしょうか?

彰一 :僕の場合はまず、依頼されたら詳しく話を聞いていきます。例えばダイニングテーブルが欲しいというのであれば、どういう部屋のダイニングテーブルなのか、どういうものを載せるのか、好きな色、嫌いな色、好きな食べ物、嫌いな食べ物…その人のことをいろいろ知りたくなっちゃうんですね。で、それを聞けば聞くほど、だんだん形が煮詰まってくる。

自分で作りたいものがある場合は、まずテーマを考えて、スケッチブックに条件を全部書きおこして、形を描いて、1/5サイズの模型を作ります。それを目につくところにずっと置いとくんですよ。僕は「デザインを寝かす」と言ってるんですけど。つくった時はいいと思っても、次の日見たら印象が違ったりする。だから最初に形に起こして、目に見えるところに何日間か置いとくんですね。
そうすると、ある部分を変えたくなって、作って、また置いて、また作って、また置いて…と、リメイクを繰り返す。そして期日までに本物を完成させるんです。だいたい完成するまでに、模型が4,5個くらいできますね。…最近、その模型が欲しいっていう声もあるんです(笑)。まあ、普通よりは手間暇がかかる方法でやっているかもしれないですね。

いいべ!:しかし、「デコ屋敷で家具を作ってもらえる」って話は、さすがにあまり知られてないですよね。

彰一 :まあ、こういう作り方をしているので安くはないですけど(笑)、お話があればつくります。
実は、工房で最初につくるものは決まっているんです。オール、木製の譜面台です。昔、僕が先生を辞める時、お世話になった音楽の先生に贈ったのがきっかけのもので。
男の先生で、年も近かったんで仲良しだったんですが、「お世話になったんで、何か欲しいものない?」と聞いたら、譜面台が欲しいと。じゃ、それ作るよと。どういうのがいいのか聞くと、高さが調整できて、譜面の角度調整もできて、あとはA3サイズよりちょっと大きめの譜面も載るような感じで、と指定されて。それで、以前つくってプレゼントしてるんですね。今は譜面台じゃなくて、キッチンで料理本を置くのに便利だと(笑)。そういう使い方をされているようですけど。

 

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デコ屋敷大黒屋 公式ウェブサイト