【インタビュー】郡山の誇る伝統工芸品「張り子」の可能性と、新たに完成した工房について聞いてみた!―橋本彰一さん(前編)

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ぜんぶ手作りですから、「手間暇かかって仕方がないな」と思ってました。

大黒屋21代目当主、橋本彰一さん。

大黒屋21代目当主、橋本彰一さん。

 

いいべ!:そういった歴史があるデコ屋敷の、大黒屋本家の21代目として彰一さんは生まれたわけですけど、最初からこの道に入られたわけではなかったと聞いているのですが…最初は、どういう感じだったのでしょうか。

彰一 :この家で生まれ育って、もともとものを描いたり作ったりするのは好きだったんですけど、最初はなかなか家の仕事をすることに抵抗があったんです。仙台の大学に行って、卒業してからは6年間、高校の美術の先生をやっていました。先生の仕事はすごく順調だったんですけど、家族の事情をきっかけに、私がこの道に入ることになったんです。
そういうわけで戻ってきたんですが、父も病気でしたし、技術を直接教わったことはないんです。見よう見真似でした。だから5,6年間くらいは仕事を覚えるのがやっとで、本当に大変でした。

いいべ!:差し支えなければ、具体的にどういうところが大変でしたか?

彰一 :まあ、父が元気ならいろいろ教えてもらえるのにというのもあったんですが、不景気の中戻ってきたので、経営的な部分も大変でしたね。あとは仕事自体が時代遅れなような気もしてました。全部手作りですから。「手間暇かかって仕方がないな」と思ってました。「これ、このままやってけるのかな?」とか思いながら、そのころはやっていましたね。

 

「かきかた」の作業風景。この作業ももちろん、一個一個手作り。

「かきかた」の作業風景。この作業ももちろん、一個一個手作り。

 

家業を継いだものの、まさに暗中模索の日々が数年間。それでも折れずに張り子づくりに向かい続けた彰一さんの環境に、ある変化が訪れる。それはいったい何だったのか?伺いました。

彰一 :5,6年やってく間に仕事を覚えてきて、そうすると気持ちにも余裕が出てきたんです。すると「張り子って、意外とひと工夫すればなんでも作れるんじゃない?」という思いが芽生えてきて。昔から「特注品を作れないか」みたいなお話はよくいただいてたので、いろいろやりました。そうすることでいろいろな方と会えますし、そのうち「張り子って、いろいろな可能性を持っているな」と思い始めました。
「伝統を守る」といっても、昔のものを大事にしながら新しいものをつくっていく、というスタイルもあるな、と気付き始めたんですね。そこからはそういう感じでやっています。

例えば、張り子の十二支。十二支の話には猫が必ず登場します。猫は人の生活に身近な動物ですけど、そういえば十二支には入ってない。じゃ、十二支のシリーズの張り子はもともとあるけど、新たに猫の張り子を作ったらいいアピールになるんじゃないかなと。

いいべ!:あえて猫の張り子を作ってみたと。その評判はどうでしたか?

彰一 :実はそれが「うっかりネコ」っていう人気商品なんです。猫はネズミに「うっかり」だまされて十二支に入れなかった。そこから、お客様の「うっかり防止に役立つ」シンボルとして販売しています。
あと、状況の変化ということで言うと、もうひとつ起点となったのが2011年の東日本大震災だったんです。

 

人気商品、うっかりネコ。

人気商品、うっかりネコ。

 

震災の年の出来事は、彰一さん自身も認めるターニングポイント。後編では、2011年の彰一さんになにが起こったのか、詳しく伺っていきます!

デコ屋敷大黒屋 公式ウェブサイト